メキシコサンショウウオ

Ambystoma mexicanum

1時限目-メキシコサンショウウオの紹介

学名Ambystoma mexicanum (アンビストーマ メキシカーナ)

英名:Axolotl (アホロートル: 正しい発音はアクソロートルです)

分布:メキシコシティのソチミルコの農村の溜池や用水路等で生活しています。ソチミルコは一年の最高気温が27度程の涼しい気候で、それ以上暑い所は苦手です。

現地では開発や汚染により、生息数が激減しており、野外で見つけることはほとんど不可能のようです。大人になると全長は20〜30センチほどの大きさになります。

2時限目-メキシコサンショウウオの特徴

他のサンショウウオやイモリとは異なり、メキシコサンショウウオはエラを持った姿のまま一生を水中で生活するサンショウウオです。子供の時と変らない姿で大人になり一生を過ごすことを幼生成熟(ネオテニー)といいます。

エサは水中で水と一緒に吸い込み、水だけエラから吐きだして食べます。

両生類研究センターでは、通常の体色(野生型といいます)と、1種類の色素変異体を飼育しています。

左右1対ある、ひらひらとしたものがエラです。
  1. 野生型: 自然界で見ることのできる体色のメキシコサンショウウオです。体全体が黒に近い色をしていて、全身に濃い色のまだら模様があります。

  2. リューシスティック変異体: 野生型のような体の表面の色素を作ることができなくなった個体です。黒い色素がないため、血管が透けて見え、体全体がピンク色になります。産卵する卵や眼の色の色素は作ることができるため、それらは野生型と同じ色をしています。

3時限目-メキシコサンショウウオの繁殖

メスは生まれてから一年経つと卵を産み始める様になります。総排泄口(そうはいせつこう)は小さいまま膨らんできません。お腹に卵を持ち始めるため、オスよりも体が太くなってきます。

メキシコサンショウウオのオスは生まれてから約半年で大人になり、総排泄口が膨らみます。また、体の大きさは、卵を持つオスと比べて細くなります。

メキシコサンショウウオのメス(上)とオス(下)
メスの総排泄口
オスの総排泄口

メキシコサンショウウオは、飼育条件をととのえると季節を問わず繁殖することができます。

こちらは両生類研究センターで繁殖行動の様子を撮影したムービーです。ムービーの解説を見ながらご覧ください。

【メキシコサンショウウオの繁殖行動 ムービーの解説】

  1. オスが総排泄口を広げ、メスを誘因するフェロモンを出しながらメスの前に行きます。

  2. オスがメスの前を歩き、後ろについて来るよう促します。

  3. メスが後ろからついて来ると、オスは精包を総排泄口から出し、床にくっ付けます。

  4. そのままオスは前へ歩いて行き、オスの精包がある場所までメスが来ると、メスは総排泄口から精包を取り込みます。

  5. 精包を取り込んだメスは体の中で受精が起こり、1日〜2日すると受精卵を産み始めます。

こちらは産卵の様子です。自然界では卵を1つずつ水草に産みつけていきます。飼育ケースにビニールシートをいれると、ビニールを水草の代わりにして卵を産みます。

オスが出した精包
メキシコサンショウウオの卵

4時限目-両生類研究センターでのメキシコサンショウウの飼育風景

メキシコサンショウウオは複数個体を同じケースで飼うと、かみ合いをして主に細い手足が傷付ついてしまいます。そのため、写真で示すように1個体ずつに分けて飼育をする必要があります。成長に合わせ飼育ケースのサイズを大きくしますが、成体は体長20㎝以上の大きさになるので、大きな飼育ケースが必要です。また、メキシコサンショウウオは暑さに弱く、両生類研究センターでは一年を通して室温を20℃に保ち飼育しています。

当センターでは自動飼育管理システムを導入しています。照明のオンオフや水換えなどが自動で行われるため、人の手で行う作業を最小限に抑えて飼育をすることが可能になっています。

メキシコサンショウウオ Q&A

*質問をタップすると答えがでてきます

メキシコサンショウウオは日本のテレビコマーシャルで1985年に初めて紹介された時に今ではとても有名な愛称になる名前で呼ばれています。なんという愛称でしょう。

ウーパールーパー

両生類の変態とはなんでしょう

変態とは、エラで水中の酸素を取り入れるエラ呼吸していた幼生が成熟し、陸上生活に移りエラが無くなり肺呼吸することを言います。(肺呼吸に変わっても、陸上に上がらず水中で生活し続ける両生類もいます。)

両生類の一生について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

ワシントン条約とはなんでしょう

絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約です。付属書IIには国際取引を規制しないと絶滅の恐れのある種が掲げられており、商業目的の取引をする場合は、輸出国政府の管理当局が発行する輸出許可書が必要です。