ネッタイツメガエル

Xenopus tropicalis

1時限目 - ネッタイツメガエルの紹介

学名Xenopus tropicalis (ゼノパス トロピカリス)

英語名:Western clawed frog (ウェスタン クロウド フロッグ)

分布: アフリカ大陸西側の赤道付近

ネッタイツメガエルの原産はアフリカ大陸西側の赤道付近で、暖かいところに暮らしています。

体の色や大きさ:おたまじゃくしの時は、色は透明で体の中が透けて見えます。変態する時期が近づくにつれて色素が増え、カエルになるとクリーム色から濃い灰色、深緑色などに変わります。全長は、大人になると4cm〜6cmほどになります。

生息域
成体のネッタイツメガエル

2時限目 - ネッタイツメガエルの特徴

後ろ脚の4本の指に名前の由来となる黒い爪に似た構造をもっていて、体は日本のカエルと比べると平たい形をしています。

日本固有のカエルは、おたまじゃくしの時は水中で過ごし、成体のカエルになると陸上で生活をします。しかし、このカエルは大人になってもずっと水中で生活をします。

また、ネッタイツメガエルはお腹や背中に縫い目のような模様を持っています。これは側線(そくせん)という感覚器官のひとつで、水流や水圧を感じ取ることができます。ご飯となる虫などの位置を捉えたり、敵が近くにいることを察知するセンサーの役割をしています。

後ろ脚のアップ写真指に爪のような構造が見られます
おたまじゃくしと変態が完了する直前のカエル
水中でくつろいでいる成体
お腹に見える縫い目のようなものが側線です

3時限目 - オスとメスの見分け方

見分け方は大きく3つあります。

  1. 大人になると、メスは卵をたくさんお腹の中に持っているので、オスよりも大きくなります。一度で産むことのできる卵の数は、なんと3,000個と言われています。オスはメスに比べて、小さいだけでなくお腹周りもほっそりしています。

  2. メスは総排泄口(そうはいせつこう)が発達しています。総排泄口とは糞や尿、卵を外に出す出口です。オスに比べてメスの総排泄口は大きく、卵を産む準備ができたとき、通常よりも赤く大きく膨らみます。

  3. 大人になったオスは、前脚の内側が黒くザラザラとしています。交尾の時にオスはメスに抱きつくのですが、このザラザラがメスから離れないようにする、滑り止めとしての役割をしています。

左がメス、右がオス
お腹側から撮影したオス前脚が黒くなっています

4時限目 - 研究の場で活躍するネッタイツメガエル

ネッタイツメガエルは水中で生活するため、陸上で生活するカエルよりも比較的簡単に飼育をすることができます。そして、生まれてから大人になるまで1年かかることなく、季節を問わずに卵を産むことができるため実験に利用しやすいといわれています。

また、このカエルは眼や手脚などがなくなっても元通りにする再生能力をもっています。それだけでなく、親から子へ受け継がれる生き物の設計図であるゲノム情報が全て明らかにされていて、その中には、人間の病気に関連している遺伝子の79%以上も含まれていることが分かっています。

これらのことから、卵から体が出来上がるまでの過程を研究する発生学研究、再生する仕組みを知るための再生学研究、発生や再生に関わるゲノム・遺伝子の研究、人間の病気について研究する分野などで幅広くネッタイツメガエルは活躍をしています。

ネッタイツメガエル Q&A

*質問をタップすると答えがでてきます

アフリカツメガエルと違うの?

ネッタイツメガエルとアフリカツメガエルは種が違います。名前や見た目など共通点がたくさんある2種のツメガエルですが、違いもたくさんあります。

ネッタイツメガエルはアフリカツメガエルと比べて

  • 体や卵の大きさが半分くらい小さい

  • 生息域が赤道に近く、生きるのに適度な水温が5度くらい高い

  • 生き物の設計図となるゲノム情報がわかりやすい

など、様々な違いがあります。

また、ネッタイツメガエルが先に存在していて、そこから長い年月を経てアフリカツメガエルが誕生したといわれています。

動かないけど、、生きてる?

ネッタイツメガエルは動かないことが多く、水面に鼻を出して浮かんでいるか、底に足をつけてぼんやりしていることがほとんどです。中にはお腹を上に向けて倒れているような子も、、。このカエルを展示していると、死んでるんですか?と驚かれる方が多くいらっしゃいます。私たち人間もリラックスしたり休んでいる時はあまり動かないのと同じで、 ネッタイツメガエルが動かない時は、基本的にリラックスしています。ご飯を食べる時や驚いた時は、リラックスしているときには想像できないくらい活発に、俊敏に動きます。