アフリカツメガエル

Xenopus laevis

1時限目-アフリカツメガエル の紹介

学名Xenopus laevisゼノパス レービス

英名African clawed frogアフリカン クロウド フロッグ

分布:アフリカ大陸の赤道付近から南側に広く分布

大きさ・体の特徴:おたまじゃくし(幼生)の時、体の色は透明で心臓やお腹の中が透けて見えます。変態する時期が近づくにつれて色素が増えていき、カエルになると淡い黄緑色や深緑色に変化します。全長は、成長して大人になると10〜15cmほどの大きさになります。

アフリカツメガエルの成体(メス)
アフリカツメガエルの幼体変態して間も無く色素が少ないです

2時限目-アフリカツメガエルの特徴

後ろ脚の3本の指に、名前の由来となる爪に似た硬い黒色の構造をもちます。

日本固有種のカエルは、おたまじゃくしの時は水の中で暮らしていますが、変態しカエルになると陸の上で暮らします。しかし、このアフリカツメガエルはカエルになってもずっと水中で生活を続けます。そのため、日本のカエルに比べて体は泳ぎやすいように平たい形をしており、後ろ脚の水かきが発達しています。

また、日本のカエルは長い舌をもっていますが、アフリカツメガエルは舌がありません。

目はあまり良くないと言われていますが、水流や水圧を感じ取るセンサーや鼻が優れていて、ご飯となる虫や餌などの位置捉えることができます。

水中にいるアフリカツメガエル 水かきが発達しているのがわかります

3時限目-アフリカツメガエルの良いところ・悪いところ

アフリカツメガエルは生きるのにちょうど良い温度域が広く、寒くても暑くてもすぐに死んでしまうことはありません。また、口に入ることができる魚や虫、水草、人が作ったペレット状の餌など何でも食べてしまうことができます。そして大人になるのも早く、生まれて約1年で子供を産むことができるようになります。この3つの点は良いことでもあるのですが、自然界では問題になってしまっています。

先ほどの3つの特徴から、大きな魚などをペットとして飼育する愛好家の人たちに、魚たちのご飯としてアフリカツメガエルはよく愛用されていました。しかし、繁殖して増やし過ぎてしまったアフリカツメガエルを野に放ってしまい、もともとアフリカツメガエルが住んでいなかった場所で大量に増えてしまったことが報告されています。日本においてもこのような問題が起こっており、昔から住んでいた他の生物たちへの影響が心配されています。

しかし、育てやすい成長が早い、飼育しやすいという点以外にも、卵の大きさが直径1〜2mmと比較的大きく、一度の産卵で大量の卵を得ることができる、顕微鏡での観察や操作を簡単に行うことができる、人間と同じく脊椎動物で四肢(しし)をもっており、体の中の構造も人間によく似ているという特徴を持っています。これらの特徴から、アフリカツメガエルは研究の世界でとても活躍しています。特に、卵から体ができていく仕組みを調べる発生生物学(はっせいせいぶつがく)研究においては国内外で昔から使われており、ノーベル賞受賞者のジョン・ガードン先生は、アフリカツメガエルの細胞を使用した研究成果により、2012年に山中伸弥先生とノーベル生理学・医学賞を共同受賞されています。

元々いなかった環境でのアフリカツメガエルの繁殖が問題になってしまっていますが、大学などの研究機関においてはアフリカツメガエルが外の世界に逃げてしまわぬよう、適切な逃亡防止の対策をして飼育・研究を行なっています。

繁殖能力が高く、一度の出産で子孫をたくさん残すことができます
アフリカツメガエルの卵

アフリカツメガエル Q&A

*質問をタップすると答えがでてきます

アフリカツメガエルの爪って、人と同じ爪なの?

違う構造です。しかし、とても硬く先端が尖っているため、暴れたりして手に当たると結構痛いですよ。学名の"Xenopus(ゼノパス)"は「風変わりな足」という意味をもつそうです。

後脚の写真