アカハライモリ

Cynops pyrrhogaster

1時限目-カハライモリの紹介

学名Cynops pyrrhogaster(シノプス ピローガスター)

英名Japanese fire belly newt(ジャパニーズ ファイヤー ベリー ニュート)

分布:本州、四国、九州に広く分布する、日本で最も一般的なイモリです。北海道にはもともと分布していませんでしたが、ペットとして持ち込まれた個体が野生化しています。

大きさ・体の特徴:メスはオスよりも大きくなります。また、暖かい地方のイモリのほうが、寒い地方に住んでいるイモリよりも大きくなる様です。オスは平たい尾を持っています。湿った陸地で過ごす時間が長く、ずっと水の中で暮らすイベリアトゲイモリに比べると、スマートな体型をしています。

生息域

2時限目-アカハライモリ体色

背中側は黒または濃い茶色をしていますが、お腹側はその名前の通り鮮やかな赤色です。お腹側の模様はイモリごとに違っているので、それぞれのイモリを見分けることができます。

お腹の赤色はイモリの食べた餌に由来する様です。飼育下で卵から育てたイモリのお腹は鮮やかな赤にはならず、オレンジ色をしています。

黒い背中に赤いお腹という(芸術的な?)色彩は、海外では人気が高かった様で、ペットとしてアメリカに大量に輸出されていた時期もありました。

春先になると、オスの尾は紫がかった色になります。これを婚姻色(こんいんしょく)と呼び、メスにアピールするための色と考えられています。

左上がオス、右下がメス
お腹の柄は個体差があります
飼育下で育てたアカハライモリのお腹
紫の婚姻色が出ているオス

3時限目-アカライモリの住む場所

大人になったアカハライモリは浅い沼や池、流れの緩やかな川、水田で見つけることができます。春先、浅い水の中に産まれた卵からかえった子供のイモリはしばらくの間、水の中で過ごします。

2〜3 cmくらいになったイモリは変態(大人のイモリと同じ形に変わること。)して、今度は陸上で暮らします。ところが変態したばかりのイモリの体はとても細長く、すぐに乾燥して死んでしまいます。そこで子供のイモリたちはいつも湿った落ち葉や草の下に潜って暮らしています。

このため、イモリが子孫をつないでいくためには、浅い水辺と湿った落ち葉のある林の両方が必要です。アカハライモリが住んでいた池や田んぼが残っている場所でも、周りの林や草地がなくなってしまうと、イモリはいなくなってしまいます。そのため、アカハライモリは日本の各地でその数を大きく減らしています。

一方で、北海道ではペットだったアカハライモリが野生化して数を増やしています。たとえ数が増えていると言っても、元々は住んでいなかった場所にアカハライモリが現れることで、環境にどんな影響が出るのかはわかりません。ペットを野外に放すのはやめましょう。

4時限目-アカハライモリの繁

春になると、オスは婚姻色で紫色になった尾をメスの前で小刻みにふってアピールします。さらにオスはソデフリンという、メスを引き寄せる物質をだします。メスは気に入ったオスと交尾をします。

メスはその後、柔らかくて透明なカプセルに包まれた卵を、一つずつ草の葉などに包むように産んで行きます。1匹のメスは1日に数個、1シーズンに最大で数十個の卵を産みます。

飼っているアカハライモリに卵を産ませるときは、幅1 cmくらいに細長く切ったビニール袋を入れておくと、草の代わり使って卵を産み付けます。

アカハライモリ Q&A

*質問をタップすると答えがでてきます

飼っているアカハライモリのお腹を赤くするにはどうしたらいいの?

「色揚げ用」と書かれている金魚の餌を与えると、お腹の赤色が濃くなると言われています。

イモリの黒焼きって何?

昔は黒くなるまで焼いたイモリは薬になると考えられていたようです。明治時代(今から150年くらい前)の新聞に、イモリの黒焼きを宣伝する広告が載っています。